卒業ソング

実は「卒業ソング」ではないのに卒業ソングだと思われている曲とは?

ちまたにはたくさんの「卒業ソング」と言われる曲がありますよね。でもそれらのうち全部が「卒業」を歌った曲ではないということを知っていましたか?

「卒業ソング」ではないのに卒業ソングだと思われている曲で、しかも今では定番となっている有名な曲は、どうして卒業ソングの定番になったのでしょうか?

今日はそんな歌を紹介したいと思います。

荒井由実 / 卒業写真('75)

この曲とは?

この曲は、ユーミンこと荒井由実が1975年にリリースしたアルバム『COBALT HOUR』に収録されている曲で、元々はコーラスグループ「ハイ・ファイ・セット」のシングル曲として提供した曲でしたが、セルフカバーとして自身の楽曲としても発売したところ、今ではこちらの曲の方が有名になりました。

また‘98年に発表したベストアルバム「Neue Musik」(ノイエムジーク)では、初回発売版のボーナストラックとしてティン・パン・アレーが参加した「卒業写真」が話題を呼びました。

なぜ「卒業ソング」と思われた?

この曲が発表されたあと、多くのラジオ局がこの歌を流すようになり、そのタイトル名から卒業シーズンになるとたくさん紹介されることで世間に知られるところとなりました。

またその美しいメロディーラインから、教科書にも採用されて多くの学校で歌われるようになり、それから卒業式でもたくさん歌われるようになってから「卒業ソング」というのが定着したと思われます。

ではこの曲はどんな曲?

この曲は、卒業アルバムを読み返している女性が、ある男性(学生時代に付き合っていた彼氏、もしくは当時あこがれていた先輩?)のことを振り返っているという内容で、ここでは卒業式のシーンや情景は一切出てきません。

そういう意味でいうと「卒業ソング」ではないということが言えるのかもしれませんが、 いずれにしても卒業の時期になると聞きたくなる曲という意味では「卒業ソング」と呼んでもいいのかもしれませんね。

H2O / 思い出がいっぱい('83)

この曲とは?

この曲は昭和58年発売の2人組ユニット「H2O」(エイチ・ツー・オー)のデビューシングルでした。あだち充原作のアニメ『みゆき』のエンディングテーマに起用されて大ヒットしました。

よく「ザ・ベストテン」などの生番組で歌唱する際、サビの部分になると声が裏返ったりしていたのが印象的でしたね(笑)いずれにしてもこの曲のヒットでその後の活躍が期待されましたがヒット曲に恵まれず解散してしまいました。

なぜ「卒業ソング」と思われた?

この曲も「卒業」に関するようなフレーズはどこにも出てきませんが、卒業ソングとして有名です。それはなぜでしょうか?

歌詞の中に「♪古いアルバムの中に・・・」というところがあったり、「♪大人の階段上る 君はまだシンデレラさ・・・」というフレーズがあったりするところから、これから卒業して社会に旅立っていく女子学生を連想させるところから、そうした流れになったのは自然かと思われます。

またアニメのエンディングのラストに卒業シーンを思わせる写真のカットがあるなどしたため、この曲が「卒業ソング」だと認識されたのではないでしょうか?

ではこの曲はどんな曲?

歌詞を見てこの曲は、この曲が使用されたアニメ「みゆき」の主人公だった「若松みゆき」のことを歌った曲であるということが推測できます。

血のつながらない妹「みゆき」と一緒に暮らす兄「若松真人」の目線から妹のことを思って歌った曲というのが自然ではないかと思われます。

この曲もきれいなメロディーラインが印象的で、その意味でも卒業シーズンにはピッタリくるということから、いつしか卒業ソングの定番になったのではないでしょうか。

海援隊 / 贈る言葉('80)

この曲とは?

この曲は、昭和55年に3人組グループ「海援隊」が出したシングル曲で、メンバーの武田鉄矢が主演を務めた大ヒットドラマ「3年B組金八先生」の主題歌として起用されたことから曲も合わせてヒットしました。

「3年B組金八先生」は、その次のシーズンで使用された「人として」や、劇中歌として使用された中島みゆきの「世情」などの曲も知られていて、今でも印象に残る名作ドラマの一つです。

なぜ「卒業ソング」と思われた?

この曲はやはり「金八先生」のドラマで有名であり、卒業シーンでも使われていたことから、その印象が強く残っていたと考えられます。

それを受けて学校でも卒業式に歌う曲としても定番化したことで、この曲が「卒業ソング」として定着したのではないかと思われます。

ではこの曲はどんな曲?

元々は武田さんが当時付き合っていた女性と別れて、そのときに思いついた歌詞であることを明かしています。つまり「失恋ソング」なのですね。

歌詞を見てもどことなくそんな感じがしますが、全般的に愛する人との別れという意味では卒業ともかぶるところがありますので、その点では「卒業ソング」と言っていいのかもしれません。

まとめ

他にも「なごり雪」や「木綿のハンカチーフ」など卒業シーズンになると聞きたくなる曲はたくさんありますが、元をたどると本来卒業ソングではない作品でも、見方を変えれば卒業ソングということになるのですね。

いずれにしてもこれからもこれらの「卒業ソング」で卒業シーズンを彩ってくれるのでしょう。

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