「クライマックス ドラマティック ソングス」曲目紹介
(track1)
- LOVE LOVE LOVE / DREAMS COME TRUE
- ラブ ストーリーは突然に / 小田和正
- TRUE LOVE / 藤井フミヤ
- SAY YES / CHAGE and ASKA
- 幸せな結末 / 大滝詠一
- LA・LA・LA LOVE SONG / 久保田利伸 with ナオミ・キャンベル
- TOMORROW / 岡本真夜
- 人魚 / NOKKO
- 田園 / 玉置浩二
- 今すぐKiss Me / LINDBERG
- 約束の橋 / 佐野元春
- 大切なあなた / 松田聖子
- Make-up Shadow / 井上陽水
- Hungry Spider / 槇原敬之
- Say Anything / X
(track2)
- 君がいるだけで / 米米CLUB
- PRIDE / 今井美樹
- Time goes by / Every Little Thing
- サボテンの花“ひとつ屋根の下”より / 財津和夫
- 空と君のあいだに / 中島みゆき
- フレンズ~remixed edition~ / レベッカ
- 壊れかけのRadio / 徳永英明
- 世界中の誰よりきっと / 中山美穂&WANDS
- ひだまりの詩 / ル・クプル
- You’re the Only… / 小野正利
- GOLDFINGER’99 / 郷ひろみ
- サイレント・イヴ / 辛島美登里
- 今を抱きしめて / NOA
- 碧いうさぎ / 酒井法子
- 悲しみは雪のように / 浜田省吾
90年代邦楽の大ヒットドラマのヒット曲で構成されたオムニバス
さてここ数年はCDの売れ行きが伸び悩んでなかなかミリオンヒットというのが生まれなくなりましたね。それでもほんの10数年ほど前までは出せばミリオンヒットといわれたジャンルがあったのですね。それが「ドラマ主題歌」でした。
今回紹介する作品は、そんなドラマ主題歌が爆発的にヒットしはじめた90年代前半から90年代後半までのドラマのヒット曲を集めたオムニバスです。タイトルは「クライマックス~ドラマティック・ソングス~」といいます。
レビューその1~80年代から90年代までのドラマソング
さて80年代末に生まれた「トレンディドラマ」ですが、その中で欠かせないスパイスとなっていたのがこのドラマ主題歌でした。
「教師びんびん物語」の「抱きしめてトゥナイト」(田原俊彦)や「転校生」の「GLORIA」(ZIGGY)など、多くのトレンディドラマからヒット曲が生まれましたが、その中にあって「ドラマ主題歌ヒットの法則」を完成させたのが、鈴木保奈美さん、織田裕二さん主演の「東京ラブストーリー」で使われた小田和正さんの「ラブストーリーは突然に」の大ヒットでした。
この当時あの小田さんがドラマ主題歌を担当するなど考えられなくてちょっとした事件のように取り上げられました。しかしあの澄み切った声がドラマの主題歌としてかかると、ドラマのストーリー展開とぴったりはまってまたたく間にミリオンヒットを達成しました。
この曲のヒットをきっかけに世間ではドラマ主題歌に一流のミュージシャンを使うことが当たり前のようになっていきました。
その流れにうまく乗ったのが「CHAGE&ASKA」でした。当時飛鳥涼さんが「光GENJI」への楽曲提供やソロで発売した「はじまりはいつも雨」でブレイクの兆しがあったのですが、本業のCHAGE&ASKAではなかなか大ヒットするまでにはいきませんでした。
しかしフジのドラマ「101回目のプロポーズ」の主題歌としてリリースされた「SAY YES」が大ヒットとなり、その後「振り向けば奴がいる」の主題歌として発売された「YAH YAH YAH」でもミリオンヒットを飛ばすなど、この頃のアーティストとしてはナンバーワンといえるほどの成功を収めました。
この2曲はこの頃を代表する作品として当然収録されています。その他初期の作品としては、リンドバーグの出世作「今すぐKiss Me」や、米米クラブの「君がいるだけで」、浜田省吾さんの「悲しみは雪のように」などがあってどれも懐かしくもあって、また一方でどこか新鮮な感じもしてきます。
レビューその2~90年代から2000年代までのドラマソング
そして90年代中期になると今までフジがドラマ主題歌の主導権を握っていたのに対して、TBSや日テレなどの各局もドラマ主題歌に力を入れるようになってきました。
TBSのドラマからは、サザンオールスターズの「涙のキッス」やユーミンの「真夏の夜の夢」などが、また日テレからは「家なき子」の「空と君のあいだに」や「星の金貨」の「碧いうさぎ」などのヒット曲がこの頃に生まれました。
ところであるテレビ番組を見ていて、「空と君のあいだに」の歌詞で登場する「君」とは一体誰を指しているのか、ということについての話があったのですが、実は「家なき子」で主人公を演じた安達祐実さんと一緒に行動していた「犬」の目線で書いた曲なんですってね。
つまりあの曲の中に出てくる「君」とは安達祐実さんのことだったということです。こんなモノの見方で曲を作り上げるのはみゆきさんならではといったところですね。そう聞いてまたこの曲を聞き返してみると、また当時とは違った感じで聴けるのではないでしょうか。
またこの頃になるとドラマの出演者が実際に劇中で歌うというような新しい試みが出てきました。NOAの「今を抱きしめて」は、93年のTBSドラマ「徹底的に愛は・・・」に出演していた吉田栄作さんと仙道敦子さんのデュオとしてXJAPANのYOSHIKIプロデュースでヒットしました。
またフジでは三上博史さんがドラマ「チャンス!」で役名の「本城裕二」名義で久保田利伸さんの「夢 with you」を歌い話題となりました。あとトキオの長瀬クンもドラマの役名でやっていましたね。
さらに後半になるとル・クプルの「ひだまりの詩」や山口由子さんの「believe」、松本英子さんの「Squall」など劇中歌も注目され、無名のアーティストからもヒット曲が数多く生まれるようになりました。
まとめ
ドラマ主題歌は絶対に売れるといったかつての法則も崩れてきて、2000年以降では宇多田ヒカルさんの「Can You Keep A Secret?」や福山雅治さんの「虹」などCD売上げの減少に伴ない、ドラマ主題歌からのミリオンヒットもぱったりなくなってしまいました。
また近年では、QUEENやカーペンターズなど洋楽を使い始めたり、「のだめカンタービレ」ではベートーヴェンの『交響曲第7番』といったクラシックを使ったりとドラマ主題歌も新たな試みがされるようになりました。
今後はどういった曲がドラマに花を添えるのでしょうか。とりあえずこのCDでも聴いて今までの主題歌を思い返してみてはいかがでしょうか?
クライマックス ドラマティック・ソングス