さて3月は卒業のシーズンですね。この時期になると卒業式に参加したと思われる服装の方がたくさん街を歩いていたりします。
ところで皆さんにも少なからず卒業の思い出があると思いますが、皆さんにとって「卒業ソング」といえばどういった曲がまず思い浮かぶでしょうか?
この「卒業ソング」については、やはり年代によって大きく変わってくるところだと思います。そこで今回は「定番の卒業ソング」を年代別に分けてご紹介したいと思います。
最初は「卒業ソング」が出てきたとされる「70年代」から見ていきたいと思います。
J-POPにおける「卒業ソング」のはじまりとは?
その紹介に入る前にまずは卒業ソングのはじまりについて簡単に触れておきましょう。
もちろんこれが最初という明確なものはないので、あくまで私個人の推察によるものであることはご承知おきください^^;
卒業ソングと呼ばれるジャンルがJ-POPシーンに登場し始めたのはたぶん70年代からだと思います。
それまでは卒業ソングといえば「蛍の光」や「仰げば尊し」といった卒業式で歌う曲というイメージで考えられていました。
(※もちろん舟木一夫さんの「高校三年生」などもある意味卒業ソングですが、今回はJ-POPというくくりで見ていきたいと思いますので今回は外させてもらいました。スイマセン。)
しかし68年に日本で公開された映画「卒業」の大ヒットにより、挿入曲であるサイモン&ガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」も同じく日本で大ヒットしました。これが日本における「卒業ソング」の起源と言えるのかもしれません。
そして70年代に入りニューミュージックというジャンルが日本に広がると、それに合わせるように旅立ちや別れ、希望などをイメージした曲がたくさんリリースされました。
これらの曲は卒業シーズンになるとたくさんラジオで流れたり、卒業式などでも歌われるようになり、しだいに卒業ソングというジャンルが定着していったように思います。
ではそうした卒業ソングの歴史を語るうえでなくてはならない曲の数々を紹介したいと思います^^
翼をください / 赤い鳥(’70)
作詞:山上路夫、作曲:村井邦彦
69年に結成されたフォークグループ『赤い鳥』の代表曲です。メンバーにはのちにハイ・ファイ・セットで活躍される山本潤子さんもボーカルとして活動していました。
山本潤子さんの伸びやかな澄んだ歌声と相まって大ヒットしましたが、赤い鳥はメンバー内の路線対立により74年に解散してしまいました。
しかしその楽曲は多くの人々の心をとらえてのちに教科書にも採用されることになり、卒業式はもとより、合唱コンクールなどでも多く歌われる名曲となりました
この曲は卒業といった直接的な言葉は登場しませんが、大空に翼を広げて飛んでゆきたいといった歌詞の内容から旅立ちなどを連想させていつしか卒業ソングとしても知られるところとなりました。
なごり雪 / イルカ(’75)
作詞・作曲:伊勢正三
元々この曲は南こうせつや伊勢正三が所属していたフォークグループ『かぐや姫』のアルバムの中の1曲でしたが、女性ボーカリスト・イルカによってカバーされ、大ヒットしました。
そして2002年にはこの曲を題材とした映画「なごり雪」が大林宣彦監督により制作されるなど、国民的に知られる名曲となりました。
この曲も「翼をください」と同様に卒業をイメージさせるところはあまりないのですが、春先に駅のホームで男女が別れを告げるという歌詞の中の風景が卒業のイメージとダブらせて、いつしか世代を超えて歌い継がれる卒業ソングの名曲として知られるようになりました。
♪今春が来て君はきれいになった・・というサビのフレーズはいつ聞いても泣けてきてしまいますね^^
木綿のハンカチーフ / 太田裕美(’75)
作詞:松本隆、作曲:筒美京平
当時アイドル的な人気を集めた太田裕美の4枚目シングル。作曲に筒美京平、作詞に松本隆という人気作曲家・作詞家コンビによる楽曲ということも手伝って、太田裕美さんの最大のヒット曲となりました。
この曲もやはり直接的に卒業を感じさせるところはありませんが、恋人と離れて都会へと向かう男性とその男性を待つ女性の男女間の心情をストーリー仕立てで描いているところに卒業の時期をイメージする方も多いことから「卒業ソング」と呼ばれるようになったのかもしれませんね。
この曲は最後までタイトルの「木綿のハンカチーフ」についてまったく出てきませんが、遠距離で付き合っていたけど結果二人が別れることになって、最後の最後に彼女の方から「♪涙ふく木綿のハンカチーフください、ハンカチーフください・・」と言ってくるのがなんとも切ないですね。松本隆先生の歌詞の世界観がとても秀逸な作品だと思います。
卒業写真 / ハイ・ファイ・セット(’75)
作詞・作曲:荒井由実
この曲はもともとボーカル・グループ「ハイ・ファイ・セット」のデビューシングルとしてリリースされましたが、のちにこの曲を作ったユーミンがセルフカバーしたことにより、多くの方に知られることになりました。
山本潤子さんの伸びやかな高音のボーカルが際立っている名曲です。その後も「冷たい雨」や「スカイレストラン」などユーミンとのタッグで多くのヒット曲を生み出しました。
以前にも当サイトの記事の中で「本当は卒業ソングではない曲」として紹介しましたが、直接卒業を歌った曲ではないにしても「卒業写真」というタイトルから卒業ソングとして扱われるのは必然だということですね。
まとめ
今回は70年代の定番卒業ソングについてお送りしてきました。
70年代は、松山千春さんの「旅立ち」やチューリップの「心の旅」、永井龍雲さんの「道標ない旅」といった旅立ちをイメージさせる曲が多く、これが卒業のイメージと相まって「卒業ソング」として定着するきっかけになったのかもしれませんね^^